2025.12.01
福地桃子、寛一郎、竹馬靖具監督が登壇!
「笑顔でそこにいて」と声をかけられ満面の笑みで舞台挨拶登壇

名づけられなかった感情や、誰にも理解されない痛みを、繊細かつ大胆な詩的リアリズムで描いた映画『そこにきみはいて』がついに公開。11月30日にはヒューマントラストシネマ渋谷にて公開記念舞台挨拶が実施され、主演の福地桃子、共演の寛一郎、そして竹馬靖具監督が登壇した。
香里を演じた福地は「この映画に携わったすべての皆さんに支えていただき、完成した映画です。これから皆さんの元にどのように届いていくのか。緊張しながら楽しみにしております」と挨拶。俳優としても出演する原案・中川龍太郎が当初は監督する予定だったが、喪失というテーマを別角度で描くために、竹馬監督がメガフォンを取る事になったという。福地は「竹馬監督とは撮影の前段階から小さなことまで丁寧なやりとりが出来ました」と手応えを語った。

健流役の寛一郎は「出演しようと思ったのは、会った事はないけれど知っている人や縁のある人ばかりだった。それで自分の中でも、この作品はやらなければいけないと思った。自分的なタイミングもそうだし、演じた健流と通ずる部分もあったし。参加した結果、出会えてよかった人たちばかりでした」と満足げに述べた。

原案及び、俳優として中野役を務めた中川から本作を託された竹馬監督は「原案の内容も彼がこれまで抱えてきたテーマだったので、果たして僕がやっていいのか悩んだ。でもこの映画を通して彼が少しでも癒されたり、彼のためになるのであれば僕が手掛けてもいいのかなと思った」と監督快諾の理由を明かした。

残念ながらこの日は体調不良で欠席となった中川について福地は「別の作品で監督として出会ったのが最初だったので、それを経て今回役者として参加されている中川さんの姿は新鮮でした。別人のような印象がありました」と監督としての出会いが最初だったと回想。中川とは本作の前から親交があったという寛一郎は「撮影中は滞在先のホテルの部屋が隣り同士だったので、夜遅くに撮影が終わった後に『一杯だけ』と朝3時くらいまで毎日一緒だった。5時起きなのに…。それだけ楽しく話せました」と撮影中さらに絆を深めた様子だった。
また中川の本業は監督だけに、寛一郎曰く「ホテルの部屋に5冊くらい演技論の本が置いてあって。中川さんに『ためになりましたか?』と聞いたら『わからない…』と言っていました」と暴露して笑わせた。
『そこにきみはいて』というタイトルも印象的。これに福地は「本作を通して、亡くなってしまった人でも、心のどこかで支えてくれる大切な存在としていてくれると思った。そんなことがシーンの一つ一つに表されていると感じられるタイトル」と考察。寛一郎は「一見すると違和感のあるタイトル。『そこにきみはいた』でも『そこにきみはいる』でもないわけで。でも映画を観てタイトルを思い返すと、現在進行形で続いているのだとわかる」と推察した。
最後に竹馬監督は「映画監督デビュー以来、本作でようやく希望を描けた気がします。それははっきりわかりやすい希望ではないけれど、かすかな光。この機会を与えてくれたスタッフ・キャストの皆さんに感謝したいです」としみじみ感謝していた。
トーク後のフォトセッション時にはオフィシャルスチールカメラマンから「笑顔でそこにいて!」と声をかけられ、登壇者は笑いを堪えられず、にこやかな舞台挨拶となった。